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硬度硬度は、水中に溶け込んでいるカルシウム(Ca)およびマグネシウム(Mg)のイオン濃度を示すもので、主に水質評価の指標のひとつです。これは水道分野において重要なパラメータであり水の品質や処理方法の評価に利用されます。以下に水道分野での硬度について説明します。
●硬度の定義
a.全硬度: 水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計濃度を指します。一般的には、mg/L(ミリグラム/リットル)または ppm(parts per million)で表されます。
b.炭酸カルシウム硬度: 水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの中で主に炭酸カルシウム(CaCO3)として存在する硬度を指します。
●硬度の影響
a.水道システムへの影響: 高い硬度の水は、水道設備や配管内でスケール(水垢)を発生させる可能性があり配管の詰まりや損傷を引き起こすことがあります。
b.洗濯や清掃への影響: 洗濯や清掃に硬水を使用すると洗剤の効果が低下することがあり洗濯物や表面に白い残留物(スケール)が残ることがあります。
●硬度の分類
a.軟水: 0 - 75 mg/L(または ppm)の範囲の硬度を持つ水。主にナトリウムイオンが支配的であり水道として好まれます。
b.中硬水: 75 - 150 mg/Lの範囲の硬度を持つ水。
c.硬水: 150 mg/L以上の硬度を持つ水。主にカルシウムおよびマグネシウムイオンが支配的でありスケールの原因となります。
●硬度の測定方法
・EDTA法: エチレンジアミン四酢酸(EDTA)という試薬を使用してカルシウムおよびマグネシウムのイオンを複合化する方法が一般的に使用されます。
●硬度の調整と処理
a.軟化: 硬度を下げるためにイオン交換樹脂や軟化剤を用いてカルシウムおよびマグネシウムイオンを除去します。
b.逆浸透: 逆浸透膜を用いて硬度を低減する方法。
硬度は、水道システムの適切な管理や処理、洗濯、清掃、加工、飲用水の品質向上などに影響を与える重要な水質パラメータであり、適切な管理が必要です。
飲料水の硬度とわ
飲料水の硬度とは、水中に含まれるカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの量を基準として数値化されたものであり一般に硬度が高い水は硬水と呼ばれ逆に硬度が低い水は軟水と分類されており、硬度の値は水百ミリリットル中のカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウムに換算してミリグラム単位で示され日本の水道水は地質や水源の違いにより地域差があるものの多くの地域では硬度百ミリグラム以下の軟水が供給されている。
飲用時にクセが少なく口当たりがまろやかな特徴があるため日本人の食文化や調理法に適した水質とされている一方で欧州や北米などでは硬度が高く石灰質を多く含む硬水が一般的であり、このような水では紅茶の風味が引き立つなどの利点があるが同時に石けんの泡立ちが悪くなったり加熱によってスケールと呼ばれる白い沈着物が配管や電気ポットに付着しやすくなるという問題も生じるため、使用用途に応じた水質選択が求められる状況となっているほか硬度が健康に与える影響については世界保健機関でも研究されており適度な硬度の水を継続して摂取することによりカルシウムやマグネシウムの補給源となる可能性があるが過剰に摂取した場合や体質によっては下痢などを引き起こすこともある。特に乳幼児や腎臓に負担のある人にとっては注意が必要であるため、ペットボトル水を購入する際や海外渡航時には硬度表示を確認し自身の体調や用途に適した水を選ぶことが重要である。また工業用途や医療分野では硬度管理が製品品質に直結するため、純水装置や軟水器を使用して水質を厳密にコントロールしており飲料水における硬度という概念は単に味や口当たりにとどまらず人体の健康、家庭での使用感、産業利用、さらには水道インフラの維持管理に至るまで幅広い分野において重要な意味を持ち適切な水の選択と理解を促す上で不可欠な指標である。